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Febuxostatから痛風治療薬市場(June 3rd 2012)

C先生:それでは今日は帝人ファーマのFebuxostatフェブキソスタットに関して勉強してみましょう。

A君:はい。痛風治療薬ですね。
20120603a.gif


C先生:うむ。これは安いな。Bさん、Febuxostatについて調べてみてください。

Bさん:はい。キサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase)を阻害することにより、尿酸値を下げる痛風薬です。2008年4月にEUで最初に承認されました。
Wiki(Febuxostat)
http://en.wikipedia.org/wiki/Febuxostat
少し引用します。
>
A committee of the British National Institute for Health and Clinical Excellence concluded that although febuxostat had been shown to be more effective than fixed-dose (300 mg) allopurinol in lowering serum uric acid concentration, it had not been shown to be clinically more efficacious or cost effective compared with allopurinol when taken to control uric acid levels (up to 900 mg). However, the committee recommended febuxostat for people who are intolerant of allopurinol.
>>

C先生:先行剤のallopurinolがあって、allopurinol 300mgには効果が勝つが、allopurinol 900mgと戦った場合、効果・費用対効果で勝る結果はなかった。と読めるが。

A君:「takのアメブロ 薬理学などなど。」さんによりますと、
http://ameblo.jp/kunotakayoshi/entry-10479683627.html
allopurinolに関しては、皮膚粘膜眼症候群(スチーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)という重大な致死性の副作用があり、特に腎機能が低下している場合は、排泄の低下により副作用がおこりやすくなるとのこと。
Febuxostatに関しては、そう言った副作用を回避しつつ、また、腎排泄型ではなく、胆汁排泄型なので、腎機能が低下した患者にも使えるようです。

C先生:薬効以外の優位性があるということか。胆汁排泄型というのがポイントの様に思われるね。

Bさん:痛風治療薬としては、約40年ぶりの新薬とのことです。

C先生:なるほど。帝人のPressReleaseによると、ピーク時で全世界1000億円以上/年の売り上げを見込んでいるようだ。
http://www.teijin.co.jp/news/2010/jbd100309.html
ブロックバスターの定義によると、年商1000億円以上だとブロックバスターのようだから、Febuxostatさんはブロックバスターになりそうだね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC_(%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81) (Wiki「ブロックバスター (医薬品)」

A君:約40年ぶりとのことですが、なんでそんなにブランクが空いたんでしょうか。

C先生:なぜだろう。ブロックバスターが出るくらいの市場なわけだし、各社参入してもおかしくないはずだが。

Bさん:吉川さんのサイトによりますと、市場規模は2003年時点で日本230億円
http://www.medmk.com/mm/add/mp_hyperuricemia.htm
患者数は約100万人(2011年)、市場規模約250億円(2011年)、Febuxostatは全世界ピーク時で1600億円の売り上げを目指すとのことです。
http://diamond.jp/articles/-/12459

A君:帝人のIR資料がありました。
http://www.teijin.co.jp/ir/doc/info090313.pdf
【米国】約170万人【欧州】約240万人【韓国】約15~85万人【日本】約87万人(痛風患者)約700万人(高尿酸血症患者)【中国】約1100万人(痛風患者)約1億5600万人(高尿酸血症患者)
ですね。

C先生:単純に積み上げてUS、EU、JPだけだと1000億円は行かなさそうだが、中国まで入れると行くかもしれないね。一方でざっと思いつく糖尿病関連の市場規模は、
http://www.yano.co.jp/press/press.php/000813
矢野経済研究所によると、日本だけで約4300億円(2010年度)、内治療薬で約3300億円。
となると、日本だけ見ても桁が一つ違うな。

A君:そういうことですか。

C先生:そういうことだ。最後に少し面白いサイトを”Uloric does DTC the right way but can a new drug overcome price barriers ?”というもの。UloricはFebuxostatの商品名。
http://worldofdtcmarketing.com/uloric-does-dtc-the-right-way/prescription-drug-dtc-marketing/

Bさん:ジェネリックが$4、Uloricは$35ですか。なかなか厳しいですね。

A君:ジェネリックが安くてびびりますね。

C先生:うむ。
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鈴木カップリングの光と「影」(20th May 2012)

C先生:久しぶりおはようございます。

A君、Bさん:おはようぼざいます。

C先生:だいぶ間が空いたな。

A君:そうですね。ちょこちょこと書いてはいるのですが、なかなか実際にちゃんとまとめようとするとそれなりの完成度が求められますからね。

C先生:今日は軽めに行きますか。今話題の鈴木カップリングで。

Bさん:今更ながらという気もします。

C先生:ノーベル賞を受賞されたのはいつだっけ?

A君:2010年ですね。一昨年の話です。
ノーベル財団のPressRelease(日本語版)
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2010/press_jap.pdf
大元のPressReleaseがこちら。
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2010/press.html

その中のAdvanced Informationを当たると、さらに詳しい背景技術に関する説明があります。
http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2010/advanced-chemistryprize2010.pdf

天然物の全合成、医薬プロセス、材料プロセスは言うに及ばず、農薬分野でも利用されているようです。少しコピーしてみましょう。
>>
The sulfonyl urea herbicide Prosulforon® is produced on a large scale with a process developed by Ciba-Geigy (Scheme 6). The key step is a Heck reaction, where a diazonium salt generates an arylpalldium intermediate, which couples with the olefin.
20120520a.jpg
>>

C先生:ほう。こんなところに使われているとは。こっちはHeckか。よく言われるのはLosartanとBoscalidなんだがね。下にあったか。鈴木カップリングね。
20120520b.jpg


Bさん:今日はどこら辺にフォーカスする感じですか?

C先生:まぁ、出回ってる話はいい話ばっかりだから、今日は鈴木カップリングの影の部分に焦点を当てましょう。

A君:影ですか・・・

C先生:これは鈴木カップリングだから、という訳ではないのだが、これだけ皆に広く使われている割に気付かれていない影の部分と言ってもよい。

Bさん:なんでしょうか・・・

C先生:このサイトなんかいいんじゃないか?「ほろ酔い化学者のブログ」
http://blogs.yahoo.co.jp/deebsky2009/13701342.html
酔ってる割にいいこと書いてあるぞ。

A君:なるほど、要するに少量のPCBが副生する可能性があるということですね。

C先生:そうだ。

Bさん:そもそもPCBとは何でしょうか?

A君:ポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyl: PCB)。熱に対して安定、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れており、様々なところで使われていた材料だったようです。
Wiki「PCB」(日本語)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E5%A1%A9%E5%8C%96%E3%83%93%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%AB
20120520c.jpg


C先生:それが一変、毒性が高く、脂肪に蓄積しやすく、発癌性があり、皮膚障害・内臓障害・ホルモン異常を引き起こす。となんかいきなり天国から地獄って感じの化合物だ。フロンと何か似てるな。

Bさん:作ってはいけないという訳ではなさそうですね。ただ、出来ちゃった場合はその保管・処理方法が面倒くさそうです。

A君:毒性の中でも発癌性・催奇形性に関してはダイオキシンと似ているようですね。

C先生:ダイオキシンか・・・微妙だな。

A君:2,3,7,8-テトラクロロパラジオキシン(2,3,7,8-TCDD)が現在のところ最強の毒性を持ったPCBのようです。
20120520d.jpg

それに次ぐのが2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフラン(2,3,7,8-TCDF)ですね。
20120520e.jpg


環化すると毒性が高まるのですね。なるほど。

C先生:今日はこの辺でどうでしょうか。重要なのは鈴木カップリングが駄目だと言っているわけではなく、皆さん気をつけて使いましょうね。ということが言いたいわけだ。Grignardやリチオ化でも出来るからね。

バイアグラ久しぶり(2010/05/09)

C先生:やぁ、久しぶりですな。

A君:最近は結構な頻度で更新してましたね。

Bさん:今日は?

C先生:久しぶりにバイアグラをやりましょう。
Viagra tablets

A君:前回一酸化窒素まで辿り着いた気がしますが。

C先生:そうだ。どこから参りましょうかね。
Sildenafil

A君:今回は逆から行きましょうか。SildenafilはPDE5の阻害剤です。

Bさん:PDE5はphosphodiesterase type 5と呼ばれています。ホスホジエステル結合を分解する酵素の一種ですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/PDE5_inhibitor

ただし、なぜか慣例と言いますか、通常ホスホジエステラーゼは環状のホスホジエステラーゼの分解酵素のことを指すようですね。
http://en.wikipedia.org/wiki/Phosphodiesterase

C先生:不思議だね。cGMPやcAMPがそれだけ重要なセカンドメッセンジャーだということかな。
cGMP & cAMP

Bさん:そしてそのPDEも1から11までのファミリーがいるようですね。

C先生:大家族だ。

Bさん:その中でもPDE5はcorpus cavernosum(海綿体)とretina(網膜)に主に分布するそうです。正確にはcGMP specific PDE type5、通称PDE5です。
http://en.wikipedia.org/wiki/CGMP_specific_phosphodiesterase_type_5

C先生:ある特定の臓器に特異的に分布しているというのは非常に重要だね。臓器選択性を出すことが可能だから。

A君:PDE5はcGMP特異的な酵素のようですね。cAMPは分解しないようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/PDE5_drug_design

C先生:なるほど。ではcGMPがどのような働きをしているか調べてください。
Bさん:SildenafilのMOAから、無理やり繋げてみましょう。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sildenafil

SildenafilがPDE5をブロックする→cGMPが分解されない→海綿体膨張
でしょうか。

C先生:なんか無理のあるMOAだな。A君、よろしく。

A君:まず勃起の生理学的過程は、性的興奮→海綿体(corpus cavernosum)の血管(vasculature)中のNO濃度の上昇→NOがguanylate cyclaseを活性化→cGMPの濃度上昇→海綿体の血管にある平滑筋(smooth muscle)の緩和→血流の上昇→勃起(ecretion)
という感じですかね。

C先生:NOとSildenafilは別の酵素に対して作用しているということか。結構複雑だね。しかし、まぁ、こんだけ複雑な人間の生理に対して、よくSildenafilは選択的に勃起を起こさせるものだ。

Bさん:PDE5が陰茎の海綿体に選択的に存在しているというのも大きいのでは?

C先生:そうだねぇ。その事実が、Sildenafilが開発された過程のどの時点で明らかだったのか非常に興味があるね。どこまで開発者達は見えていたのだろうか・・・針の穴を通すような作用機作に感じるが。

A君:まぁ、麻雀と同じで通ってしまえば、ということでしょうかね。とはいえ、針の穴を完全に通らない場合もありますし、その時は副作用という結果になりますよね。難しいですよね。

C先生:まぁいいでしょう。ちょっとまとめましょう。
Mode of action of Sildenafil

Bさん:この図を見ますと、cGMPが鍵化合物ですね。Guanylate Cyclaseを活性化させても勃起することになりそうですが。

C先生:そうだね。だから、PDE5が海綿体に主に分布するというのがポイントだ。

A君:さきほどありましたが、PDE5は網膜にもあるのでは?

C先生:うむ。実は、そこらへんの話を詳しくやると少しややこしいのだよ。PDEのアイソザイムに関して調べてもらえるかな。

Bさん:まず、PDEファミリーが1から11まであります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Phosphodiesterase

A君:分類ですが、アミノ酸配列/基質特異性/制御の特徴/薬理学的特徴/組織分布などの項目で分類されているようですが、ざっくり分かりやすいのが基質特異性でしょうか。PDEの基質にはcGMPとcAMPの2種類があるのですが、cGMPだけしか分解しないものが5,6,9のタイプ、cAMPだけが4,7,8、両方いけるのが、1,2,3,10,11です。

C先生:なるほど、実はPDE5もさらに細分化されるのだ。というのは、PDE5の組織分布に関して見てみると、PDE5A1からA4まで解説されている。
http://en.wikipedia.org/wiki/PDE5_drug_design

Bさん:ややこしいですね。PDE5A1はAが遺伝子を表し、1はスプライシングのされかたの違いで番号を振ってあるようですね。PDE5に関してはもとの遺伝子は一つと考えていいようですね(Aから始まってるはずなので、Bがなければ遺伝子は一つ)。

A君:PDE5A1とPDE5A2は脳/肺組織/心臓/肝臓/腎臓/膀胱/前立腺/尿道/陰茎(やっと出てきました)/子宮/骨格筋に分布しているようです。

C先生:あれ?海綿体と網膜に特異的に分布しているはずだが・・・続けてください。

A君:PDE5A3は量が少なく、平滑筋にのみ分布しています。平滑筋は心臓/膀胱/前立腺/尿道/陰茎/子宮にあるようですね。PDE5A4に関してはよくわかっていません。PDE5A5は血小板/胃腸の上皮細胞/小脳のプルキニェ細胞/陰茎と陰核の海綿体/膵臓/胎盤/結腸/膣の平滑筋と上皮に存在します。

C先生:なんか全然話が違うな。

Bさん:全体の量としてはやはり海綿体と網膜に多いのではないでしょうか。

C先生:なるほど。了解。作用機作に関しては理解が深まった。次回は、合成法を考えてみましょう。また打ちのめされるかもしれないが、頑張って。


Pyrethroidからその歴史振り返り(1)(2010/04/28)

C先生:はい、どうも。今日はピレスロイド再びということで、全てのピレスロイドに関して語ってみましょう。

A君:これまた相当膨大な話になりそうですが。

Bさん:散漫にならないように気をつけましょう。

C先生:Wikiによると第1世代と第2世代があるようだが。
http://en.wikipedia.org/wiki/Pyrethroid
(Wiki 「Pyrethroid」)
このサイトによると第4世代まであるのかな。
http://www.tec.org.au/safersolutions/a/184?task=view

とりあえず元祖のピレスリン。
Pyrethrin

Bさん:ピレスロイドの簡単な歴史が以下のサイトに掲載されていました。
http://www.chemuseum.com/professional/report/11/index.html
酸部、エステル部、アルコール部の3つの部分でそれぞれ発展してきたようですね。

A君:頑張って調べましたよ。世代というのは、構造はさておき、上市された年代と活性で区別されているようです。
http://ipmworld.umn.edu/chapters/ware.htm
上記サイトを継承すると、第1世代は、Allethrinのみですね。
1st Generation of Pyrethroid

そして、第2世代は5つあるようですね。まだ光に不安定な世代のようです。
2nd Generation of Pyrethroid

第3世代は光安定性を持った、初の農業用ピレスロイドです。
3rd Generation of Pyrethroid

第4世代は、第3世代以降のもの全てを総称するようですね。

C先生:世代の定義は人によって異なるようだね。第1世代と第2世代を合わせて第1世代としている人もいるようだし(Wiki)、Bayerの人もその系統の人のようで、我々の第3世代にCypermethrinとDeltamethrinを入れているね。ポジショントークも少し入っているのかもしれないが。
http://www.bayercropscience.com/bcsweb/cropprotection.nsf/id/EN_1stArticle022009/$file/2009_2_1_Housset.pdf
3rd Generation of Pyrethroid?

というところだ。まだまだあるんだが。Bさん、第4世代をピックアップしてください。

Bさん:了解です。アランさんのサイトからピックアップしました。
http://www.alanwood.net/pesticides/class_insecticides.htmlアルファベット順でいいでしょうか。
Acrinathrin

Acrinathrin:
Roussel Uclafというフランスの会社が発見したものです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Roussel_Uclaf
今はBayerが権利を持っているようですが、2002年よりCheminovaとBayerが協同で世界的に販売しているようです。
http://www.cheminova.com/en/cheminova/news__views/20061208_01.htm
どちらかというとPyrethrin IIの方に似ているのでしょうか。左側部にエステルが入っていますから。

C先生:エステルだけどもヘキサフルオロイソプロピルのエステルだね。加水分解とかはされないのかねぇ。

A君:次はBarthrinです。
Barthrin

結構古いタイプですね。年代的には第2世代ですが。USDAの研究員Barthelさんが見つけたもののようですね。
http://naldr.nal.usda.gov/NALWeb/Agricola_Link.asp?Accession=IND43861660
USDAのNational Agricultural Libraryに載っていました。1962年の文献です。
Busbey, Ruth L. “Organic Insecticides.” Yearbook United States Department Agriculture, 1962. 334-336.
アメリカは情報公開が凄いですね。今もかは分からないですが、昔はUSDAでは殺虫剤の探索研究をやっていたのですかね。

http://whqlibdoc.who.int/bulletin/1971/Vol44/Vol44-No1-2-3/bulletin_1971_44(1-2-3)_315-324.pdf
(Barther, W. F. & Alexander, B. H. (1958) J. Org. Chem., 23, 1012)
初のパブリッシュはJOCだったようですね。

http://whqlibdoc.who.int/bulletin/1971/Vol44/Vol44-No1-2-3/bulletin_1971_44(1-2-3)_349-352.pdf
 (Bull World Health Organ. 1971; 44(1-2-3): 349–352.)
少し引用してみます。
In retrospect, one can see several factors that have defeated the synthetic pyrethroids. The work of Barthel and his colleagues that produced barthrin and dimethrin was carried out in a government laboratory and the compounds were patented in such a way as to make them available to all without licence. The cost of marketing a compound today is so tremendous that no company can undertake the necessary toxicological work without patent protection. These compounds, although highly effective and of low toxicity for mammals, were “killed” by the US public-use patent. Dr. Elliott’s compounds is difficult to synthesize and commercial concerns may be reluctant to develop such a compound fully in view of the poor economic returns from other synthetic pyrethroids.

C先生:ふむ。Barthrinは結局上市されなかったのかな?政府の機関で見出されたが、public-useのパテントとして公開された故に、誰も手が出せなかったと読み取れるが。

Bさん:Barthelさんの発言のようですが、自分の見つけた化合物が良い性質だったのに、どの会社も開発してくれないから、うんぬんかんぬんのようですね。

ではお次、Bifenthrinです。エナンチオマーの混合物です。
Bifenthrin

http://en.wikipedia.org/wiki/Bifenthrin
Wikiによりますと、第4世代のピレスロイドです。FMCによって発見・開発されました。
http://www.homeguardptm.com.au/downloads/Pest%20Express%20Issue%2021.pdf
上記サイトによると、1982年に特許公開、1989年に圃場試験、1995年上市という感じですね。

A君:やっと日本発のピレスロイドに当たりました。
Butethrin

かなり情報量が少なかったのですが、開環タイプのアルコール部のハシリとなった化合物のようです。ベンゼン環を開環したデザインです。
http://books.google.co.jp/books?id=7aaeH5FCb0gC&pg=PA214&dq=pyrethroid+synthetic&lr=&as_brr=3&cd=17#v=onepage&q=butethrin&f=false
大正製薬の方が発見したようです。
http://ci.nii.ac.jp/els/110001756467.pdf?id=ART0001850826&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1272179439&cp=

http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/society/25-4006.pdf
リファレンスをたどったところ、以下の文献に辿り着きましたが。
http://www.journalarchive.jst.go.jp/jnlpdf.php?cdjournal=bbb1961&cdvol=35&noissue=6&startpage=968&lang=en&from=jnlabstract
Sota, K. et al. New synthetic pyrethroids. Agric. Biol. Chem. 1971, 35, 968.

Bさん:これまた情報量が少なかったです。
Cyclethrin

http://www.drugfuture.com/chemdata/Cyclethrin.html
http://www.ingentaconnect.com/content/esa/jee/1955/00000048/00000004/art00016
年代的にはBarthrinと同時代でしょうかね。

http://books.google.co.jp/books?id=fPiRSsUOpLEC&pg=PA28&dq=cyclethrin&as_brr=3&cd=5#v=onepage&q=cyclethrin&f=false
かなり初期の頃の剤のようです。

C先生:次は私だ。
Cycloprothrin

http://books.google.co.jp/books?id=wA2D8MM6afsC&pg=PA93&lpg=PA93&dq=cycloprothrin+discover&source=bl&ots=HEEgJ3PlwD&sig=Z09R6eFCEx0_DbsjK_Usl6LoqEU&hl=ja&ei=NR7US6rXDc2HkQXfqvyKDA&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=1&ved=0CAYQ6AEwAA#v=onepage&q&f=false
DDTからヒントを得て見出したと書いてあるね。確か同じ作用性だったかね?
DDT
http://ja.wikipedia.org/wiki/DDT

Bさん:ピレスロイドは「Na+チャンネルを持続的に開くことにより脱分極を生じさせる神経毒」です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89
DDTは「神経軸索のNa+チャンネルに作用し、神経系の情報伝達を阻害する。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%BA%E8%99%AB%E5%89%A4
ということは同じ作用機作ということのようですね。

C先生:なるほど。DDTとピレスロイドは同じ作用機作で、構造活性相関にも類似性があり、それで精力的に似せた方向で探索を進めたようだね。

A君:CSIROの研究者が見つけたようですが、オーストラリアの研究所ですね。結構珍しいのではと思うのですが。
http://www.csiro.au/csiro/channel/_ca_dch2t.html
(CSIROはCommonwealth Scientific and Industrial Research Organisationの略)

Bさん:引用ですが、CSIROのホームページに書いてありました。
「In the agrichemical area, Cycloprothrin, developed at CSIRO, is the leading rice insecticide in Japan (Cyclosal™, Nippon Kayaku).」
http://www.csiro.au/science/Bioactive-Discovery.html

C先生:それでは、ここまでにしておきますか。しかし、相当な数の剤があるね。まぁ、ぼちぼちやっていきましょう。

Januviaからとりあえず右側だけ(2010/04/25)

C先生:はい、どうも。前々回はDPP-4阻害剤の懐の広さにびびってしまい、前回はSitagliptinの合成法の素晴らしさに涙目で、突然終わらせてしまった。今日は答え合わせということで、頑張ってみましょう。
http://www.columbia.edu/cu/chemistry/groups/synth-lit/MIR2009/2009_06_26-BKelly-Sitagliptin.pdf
Januvia

まずはじめに、パーツの分け方は間違っていなかったようだ。どうがっちゃんこするかは、まぁおいおい、ということで。

A君:では右側から参りましょうか

C先生:そうだな。では、どうぞ!

A君:以下のようになります。4ステップで収率28%ですので、平均1ステップの収率は、73%ということになりますね。
from Chloropyrazine

C先生:恥ずかしながら、全く思いつかないルートだった。最後に還元して、芳香族性をなくすというルートだものね。以前Favipiravirのルートを考えていた時に、ジケトピペラジンを芳香化して、ピラジンを合成するルートを考えてみたのだが、これは逆の発想だ。
pyrazine

Bさん:芳香族化の方がすんなりいってくれそうですが。

C先生:そうだね。もしかすると、かなりの高圧条件で水添しないといけないのかもしれないけどね。悔しいので敢えてケチをつけさせてもらいましょう。まず、最初のクロロピラジンとヒドラジンとの反応だが、生成物がまだ求核性を持っていると考えられるので、ダイマーが生成する可能性があるね。これは不可避だろう。
hydrazine

A君:ヒドラジンにクロロピラジンを滴下すればよいのでは?

Bさん:ヒドラジンと生成物のピラジンのヒドラジンでは、原料のヒドラジンの方が生成物のヒドラジンより求核力が強そうですが。ピラジンは結構ひっぱっていそうなので。

C先生:確かにそうだ。じゃ、次。こんなにうまいこと二個トリフルオロアセチルが入るのかな。とりあえず6個くらいバイプロが思いついた。一番ありそうなのが(*)だね。1個目がどこから入るかだけど、ピラジン環から一番離れたアミノ基からだろう。その後二個目はなかなか入りづらいのじゃないか?
trifluoroacetyl

A君:確かにそうですね。

Bさん:まぁ、どのみち次のステップで内側のトリフルオロアセチルは切れるので問題ないのでは?

C先生:そうだね。だとすると、このプロセスはまだまだ向上の余地ありなのかな。トリフルオロアセチル化でもトリフルオロアセチル源を半分しか使っていないし、二個入れておいて次で一つ切るとは、まだまだ無駄が多いな。とはいえ、最後はいいね。還元で脱芳香化で完成。しかも、これ書いてみて気付いたのだが、トリアゾール環が還元されることはあり得ないんだね。てっきりトリフルオロアセチルで引っ張っているから還元されにくくて選択性が出せていると思いきや、ピラジンをのこしたままトリアゾールを還元した構造式が書けない。
reduction

A君:我々は構造式でしか、色々と考えていませんが、実際に手を動かしていた方には、思いもよらない、苦労があったでしょうね。

C先生:そうだね。苦労した場所も意外なところかもしれないし。左側は次回でいいでしょう。お疲れさまでした。
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